お知らせ

さくらサイエンスプログラム活動報告(2018年10月28日-11月05日:フィリピン)

日時:2018年10月28日(日)― 11月5日(月)
場所:東南アジア地域研究研究所 図書室、稲盛財団記念館 情報処理室、共同棟4階セミナー室 等

テーマ:フィリピンの各地大学図書館における学術情報基盤環境の構築・整備支援

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活動報告:

今年度は10月にフィリピンのフィリピン大学ディリマン校・アテネオ・デ・マニラ大学・イフガオ州立大学・ヴィサヤ州立大学・ブラカン州立大学の5機関から、図書館員10名を招聘した。ほかに、東南アジア地域研究研究所で招聘したブラカン州立大学図書館准教授 1名が参加した。

今回の事業目的は、図書館情報学の研究者や技術者をフィリピン各地方から招聘し、京都大学東南アジア地域研究研究所における学術情報基盤構築スキームや連携する各研究機関にて視察および実習を行うこと、それによって、我が国の技術協力のもと、当該国で立ち後れている学術情報基盤の構築・整備方法を習得し、自国にて実践応用することにある。

10月28日成田空港に到着し東京・横浜を経て、10月31日から京都を中心に関西一円の図書館・博物館を視察し、天候に恵まれて順調に研修日程を消化することができた。

研修日程(10月28日~11月5日)は、東京大学、京都大学、国立国会図書館関西館、国立民族学博物館で行われた。東京大学では経済学資料室において資料保存に関連した施設視察と保存実習、また国立歴史民俗博物館から講師を招き自然災害を考慮した資料保存策について講義を行った。京都大学では、東南アジア地域研究研究所で、図書室が図書館システムiliswave_jを、情報処理室では同室長木谷公哉助教が開発した東南アジア逐次刊行物データベースについての研修後、地図・資料室の資料・デジタル化装置を視察した。附属図書館では館内を視察した後にリポジトリ及びデジタルアーカイブシステムについて研修した。国会図書館関西館では、館内視察後にアジア資料情報課課員とアジア資料に係る情報交換を行った。また、国立民族学博物館で同館のデジタルコンテンツ活用例を視察した。今回初めて、日本国内の図書館とその関連研究機関及び民間企業が一堂に会する「第20回図書館総合展」(10/30-11/1開催、於:パシフィコ横浜)の視察を日程に組み込み、日本国内の最先端科学技術の開発状況を視察し、学術情報基盤環境は官民一体による高度な先端科学技術の導入によることを体感してもらう機会を設けた。10月30日パシフィコ横浜で開催中の図書館総合展では、総合展事務局から同イベントの経緯を説明され、事前に協力を依頼していた国立情報学研究所・国立国会図書館のほか国立公文書館ブースで各機関の科学技術最先端についてそれぞれプレゼンをしていただいた。午後は、民間企業の株式会社金剛・プリザ-べーションテクノロジーズジャパン・堀内カラー・資料保存器材がそれぞれの施設・器材開発についての説明を行った。一行は、会場を埋める多種多様な科学技術のディスプレイにやや圧倒された感があり、予定時間を超過してあちらこちらのブースに寄っては熱心に見入っていた。

今回は、戦後日本と同じくアメリカの図書館情報学を摂取したフィリピン大学図書館における図書館データベースやリポジトリ・デジタルアーカイブの技術水準は高いと予想しており、むしろ日本の産官民連携の技術力を図書館総合展のような大規模イベントで実地に視察してもらえればと、計画段階において研修プログラムを組み直した。しかしながら、実際の研修課程では、当初予想していた以上にフィリピン国内の大学間で首都・地方格差が大きい、国立情報学研究所が運営するSINETのような情報基盤インフラがない、図書館を支える民間企業が発展していない、防災対策の脆弱性など、フィリピンにおける学術情報基盤環境構築の諸課題が浮き彫りとなった。今回訪日した各機関からは、日本との継続的な技術情報交換、E-DDSによる資料共有プラットフォーム構築について国を超えた連携への期待が寄せられた。

京都大学東南アジア地域研究研究所中庭にて

 

Oct. 29th (Day 2)  第2日目(2018年10月29日)
東京大学経済学資料室で資料保存実習。
Practical training about material preservation at the Resources and historical collections office, Faculty of Economics, Tokyo University

小島浩之講師による挨拶

森脇優紀助教による中性紙を利用した製函実習

矢野正隆助教による資料室フロアプラン説明

歴史民俗博物館天野真志准教授による災害と資料保存の講義

 

Oct. 30th (Day 3) 第3日目(2018年10月30日)
第20回図書館総合展(横浜パシフィコ)を視察
Overview the latest library science technology at the 20th Japan Library fair & Forum

図書館総合展運営委員会より概要説明

国立情報学研究所ブースでNacsis Cat・Sinet将来構想の説明を受ける

国立国会図書館ブースで英語ビデオによる同館概要説明

株式会社資料保存器材ブース(http://www.hozon.co.jp/)で保存事例を見る

フィリピン大学出身スタッフによるデジタルアーカイブ構築例説明(https://www.horiuchi-color.co.jp/)

最新のセキュリティ設備を体験

改修計画を念頭に図書館設備をチェック(https://www.kongo-corp.co.jp/)

プリザ-べーションテクノロジーズジャパンによる脱酸技術説明
(http://preservationtechnologies.jp/)

 

Oct. 31th (Day 4) 第4日目(2018年10月31日)
京都大学東南アジア地域研究研究所に到着。
Arrival at CSEAS, Kyoto University

国際交流委員会委員長Mario Ivan Lopez准教授による研究所概要説明後に記念写真

京都大学東南アジア地域研究研究所図書室にて、図書館データベースiliswave_j説明

図書館データベースiliswave_jによるILL操作説明

地図・資料室で地図保管・デジタル化設備やフィリピン古地図を視察

京都市内観光 

 

Nov. 1st (Day 5) 第5日目(2018年11月1日)
京都大学附属図書館にて、ラーニンゴコモンズ・メディアコモンズ等利用者サービス施設、及びデジタルアーカイブ、リポジトリ「紅」構築・運用状況を視察。
Visit the facilities for users (learning commons, media commons and so on) and
observe an operation of repository KURENAI at Central Library of Kyoto University

附属図書館前で講師役の同館スタッフと記念写真

附属図書館前で講師役の同館スタッフと記念写真

 

Nov. 2nd (Day 6) 第6日目(2018年11月2日)
国立国会図書館関西館アジア情報課による館内案内で、同館内を視察し、同アジア情報課においてアジア地域資料収集について研修。
Overview National Diet Library Kansai-kan and exchange information with staffs of
Asian Resources Department

アジア情報課との情報交換

国立国会図書館関西館前で

 

Nov. 3rd (Day 7) 第7日目(2018年11月3日)

国立民族学博物館にてデジタルコンテンツ活用例の視察

 

Nov. 4th (Day 8) 第8日目(2018年11月4日)
東南アジア地域研究研究所にて、同研究所木谷公哉助教による「東南アジア逐次刊行物データベース」構築スキーム研修。講義後、成果報告会として、図書館DB・デジタルアーカイブ構築に係る情報交換を行った。

木谷公哉助教による「東南アジア逐次刊行物データベース」構築スキーム研修

東南亭で東南アジア逐次刊行物DB構築スキーム研修後に木谷公哉助教と記念写真

 

Nov. 5th (Day 9) 第9日目(2018年11月5日)
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